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最新情報

令和4年度秩父大会

令和4年度 民俗芸能学会秩父大会は原則オンラインにて開催

日 程 : 令和4年11月27日(日)
会 場 : 原則オンライン
※オンライン環境構築が困難な会員のみ、秩父神社スタジオにて参加可能
内 容 : 研究発表、講演
参加費 : 会員無料、非会員1,000円


大会プログラム

10:00~   秩父神社正式参拝:大会スタッフ
10:30~10:40【開会挨拶】大会実行委員長
10:40~12:10【研究発表1】(敬称略)
(1)児玉 絵里子「“歌舞妓”と近世初期「舞踊図」 ― 遊女歌舞伎・若衆歌舞伎の芸態 ―」
(2)松原 武実「甑島の内侍舞」
(3)宇野 正人「民俗芸能における伝統と創造 ― 中国地方の神楽 ―」
12:10~13:10【昼食休憩】
13:10~13:40【研究発表2】(敬称略)
(4)外崎 純一「下北半島の能舞」
13:50~15:00【講演】
山本 正実 氏(小鹿野町教育委員会社会教育課 文化財専門員、小鹿野歌舞伎保存会副会長)
演題「秩父の祭りと民俗芸能 ― 秩父小鹿野町を中心に ―」
15:00~15:10【本田安次賞授与式】※該当者なしの場合授与式はなし。
【総会】総会は大会とは切り離し、別途書面で行う。
15:10【閉会挨拶】民俗芸能学会代表理事

閉会後 秩父神社スタジオにて参加会員 秩父祭会館見学

令和四年度 民俗芸能学会秩父大会は原則オンラインで開催された。


研究発表

児玉 絵里子
 「“歌舞妓”と近世初期「舞踊図」 ― 遊女歌舞伎・若衆歌舞伎の芸態 ―」

 本発表は、容色性に重きがおかれて煽情的であったと捉えられてきた遊女歌舞伎、および 若衆歌舞伎の芸の実態について、国指定重要無形民俗文化財「綾子舞」と近世初期「舞踊図」を主たる資料として、捉えなおそうと試みるものである。
「舞踊図」は江戸時代前期の寛永年間(1624~1644)から寛文年間(1661~1673)頃に複数描かれて伝世する、金地や無地の背景に扇を持つ一人立美人図である。代表的な作品に京都市蔵「舞踊図屏風」やサントリー美術館蔵「舞踊図」などの屏風絵と、軸装とがある。従来の美術史はこれらの舞踊図を、量産を目的にパターン化した図像を複数描いたものだ と捉えてきた。また、屏風各扇に一人立美人図を描く「舞踊図屏風」は、‛伝統芸能’を身につけた遊女の舞姿が「尽くし」の意匠として配されたもの、との解釈が示されてきた。一方、遊女歌舞伎・若衆歌舞伎に関する資料は極めて限られており、徳川美術館蔵『歌舞伎図巻』や特定の絵画、文献資料などから芸の内容が推測されてきた。
 本発表では、パターン化された図像だとみなされてきた「舞踊図」「舞踊図屏風」の人物の形象を、本田安次らによって古歌舞伎踊りの系譜にあると指摘されてきた「綾子舞」等の民俗芸能と比較対照し、遊女歌舞伎・若衆歌舞伎に係わる画であることを明らかにしたい。


松原 武実「甑島の内侍舞」

 甑島は甑列島の総称。平成16年(2004)に薩摩川内市と合併するまでは北から里村・上甑村・鹿島村・下甑村の4村。うち里村(1集落)と上甑村(7集落)の全8集落に内侍舞が戦後まであった。伝承が続いているのは里村のみ。10月下旬の里八幡神社秋祭りの祭典の中で拝殿にて、初潮前の娘が舞う。現在は中高生も。太鼓の伴奏のみにて舞は右回りと左回りを12回繰り返すだけ。15分ほど。笛はかつてあったが今は不在。
 指宿市山川の南方神社(諏訪神社)の神舞は3年ごとの10月下旬(夜)、現在は12番ほどを上演。前日、神輿が新築や不幸のあった家などを廻るグレマワリあり。神輿を座敷内に運びこんで簡単にお祓いのあと、座敷内で(1)女児によるネイメ(内侍舞)、同時に外では(2)男児2人のキツネダマ、(3)青年1人のナギナタ舞、(4)青年4人の鬼神舞がなされる。全部で数分。(1)(2)は翌日の神社での神舞では舞われないものだが、今は最初に舞っている。
 トカラのネーシ舞は今回は触れない。以上の甑島と山川の内侍舞は女児がその場で小さく廻るものだが、鹿児島の藩政期の多くの神社資料にはしばしば内侍舞という文字が出てくる。どういうものであったかは甑島と山川の内侍舞が示唆している。
 ちなみに似たように本殿に向かって、立った位置でただ廻るだけの稚児舞(男児)が熊本県宇城市にある。一例としては小川阿蘇神社の7月15日(夏祭り)と10月15日(秋祭り)に奉納の稚児舞。左右交互に9回まわってヒト神楽と数える。前夜は夕方からゴヤ神楽(祭典なし)として九神楽(ココノカグラ)、当日は午前10時から祭典、祝詞奏上のあと七神楽(ナナカグラ)、夕方は祭典なしで三十三神楽(ホンカグラ)。


宇野 正人
 「民俗芸能における伝統と創造 — 中国地方の神楽 ―」

 民俗芸能における創造とは、新たな発明や発見と異なり、従来から存在する芸能が前提となり、その芸能の下に、新たに作り出される芸能の事を指す。そうでなければ、新たに創造された芸能は、それに類する従来から存在する民俗芸能とは異質な芸能となり、なおかつ、従来から存在する民俗芸能の独自性を損なう事になる。
 日本に存在する民俗芸能の大部分は、伝承された演目、番組構成、舞踊、演奏、歌謡等を民俗芸能が伝承された地域の住民が歴代習得して、演ずるのが普通である。新しく創造された民俗芸能に類似した芸能のほとんどは、地域社会と無関係な舞踊団体によって演じられる場合が多く、地域に根ざした民俗芸能とは言い難い。
 中国地方は、現在、全国屈指の神楽が盛んな地域である。約五百団体の神楽団、神楽社中が存在する。これら中国地方の神楽は、演目、番組構成、神楽場、奏楽、神楽歌等々の類型化、伝播経路等の解明が可能である。加えて、従来から存在する神楽を「旧舞」、新しく創作された「新舞」と称し、双方の神楽を演じる地域も存在する。


外崎 純一「下北半島の能舞」

 青森県の下北半島には、東通村を中心とした能舞と呼ばれる山伏神楽が伝えられている。
 伝承母体は、各集落の若者を主体とした組織で青年会や敬神会などと称している。
 芸能の構成は、獅子舞(権現舞)と、儀礼舞(鳥舞、かご舞、翁、三番叟)、武士舞(信夫、十番切、渡辺、鈴木、曽我兄弟、鞍馬、屋島、巴御前)、祈祷舞(鐘巻)、道化(どげ)舞(まい)(蕨折、天女、ねんず、雀追、きつね舞、田植、地蔵舞、年始舞、綱引、出子助)などがある。
 演じられる期日は、暮れの12月中旬のウチナライ(練習)から始まり、正月の幕開き、幕納めの2回である。集落によっては1回のところもある。
 現状は、ほかのところにも見受けられる人口流出による青年層の減少による伝承継続の危機がある。すでに、獅子舞だけしか伝承していない団体もあり、今後どのように継承していくかという喫緊の課題を他の民俗芸能と同様に対策を講じなければならない状況にある。


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