平成27年度「本田安次賞」選考委員会報告[2020/05/23 更新]
「本田安次賞」:該当なし
「本田安次賞特別賞」: 野村 伸一 氏
【選定理由】
野村 伸一 氏の東アジアにおける祭祀芸能の研究は40年間に及ぶ。韓国の民俗芸能からはじまった研究は、韓国・中国・台湾・日本などの東シナ海を取り巻く祭祀芸能の調査・研究へと展開して行った。野村氏が一国・一地域ではなく東シナ海に沿った複数の国で調査を重ねて来たのは、これらの国と地域の祭祀芸能に通底する基層文化を明らかにし、祭祀芸能を文化圏の中に位置づけることにあった。その方法として東シナ海一帯を一つのまとまった文化圏―「東方地中海文化圏」として把握し、そこに底流をなして共通する文化を理解するための基軸を設定し、比較研究の視点から体系的なアプローチを行った。
野村氏の近年の著作に『東シナ海祭祀芸能史論序説』風響社(2009年)、『東シナ海文化圏 東の〈地中海〉の民俗世界』講談社選書メチエ(2012年)、「総説 東アジア祭祀芸能の比較のために ― 基軸の設定」『国際常民文化研究叢書7 ― アジア祭祀芸能の比較研究 ―』神奈川大学国際常民文化研究機構(2014年)、編著『東アジア海域文化の生成と展開』風響社(2015年)ほかがある。これらの著作は今年3月に定年退職された母校慶応大学在職中の研究成果である。
以上の成果が高く評価され、平成27年度本田安次賞特別賞は野村 伸一 氏の「東シナ海を取り巻く祭祀芸能の調査・研究」に関わる編著『東アジア海域文化の生成と展開』等、さまざまな研究成果に対して贈られることとなった。野村氏の一連の研究が今後の東アジア芸能研究の指針となって果たす役割は大きい。
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